
GIOS。相方もこれに乗っている。

公園で独り孤独なオーラを放つ人。

公園の空を見上げてみる。
「ただマイヨ・ジョーヌのためでなく」を読んだ。
自転車にはまっている相方が持っていたもので、夢をかなえるゾウにも参考文献としてちらっとでていたので、基本平行読みの私は読んでみる事にしました。
簡単に言うと、癌になっても治して「ツール・ド・フランス」という自転車の最高峰と言われるレースで優勝した、ランス・アームストロングという自転車走者の話です。
原題は『It's Not About the Bike(自転車についての話ではない)』というだけあって、彼の人生の話です。
なんかもう、尋常じゃないです。彼は。
精神の強さも尋常じゃない。
というか、必死に闘い抜いた結果だけれど。
学校に行く前に水泳10km泳ぎ、30km自転車をこいでいた。
帰りも同じ事をしていた。
そんなこんなで21歳で才能が開花し、数々のレースで勝ちすすむ。
でも25歳で睾丸癌になる。
一番苦しいと言われる癌の第4期の時でさえ、1時間しか走れなかった、と言っているくらい、自転車に乗っていた。
後で医者に聞いたら、発見したときかなり癌は進行しており、正直なところ3%位の生存率だったという。
そこから癌について徹底的に調べ上げ、抗がん剤や癌と戦い、さらにはもう走れないだろうと思っていた自転車に乗り、ツール・ド・フランスで優勝する。
もう本を読んでいる最後の方は電車で一人泣きそうになってしまいました。
始めは、プライドの高い人だな〜という印象だったのに(たぶん普通にいまでも高い人なんだろうけれど)、自転車に乗り始めてから、周りの話にも耳を貸すようになり、そして癌と闘った後は、周りに感謝して、自分に出来ることをと癌基金を始めたり、人への貢献や感謝が出来る人になっていました。
マイヨ・ジョーヌとは、ツール・ド・フランスという20日くらい走り続けるレースの中で、一日で一番いいタイムだった人が、次の日にマイヨ・ジョーヌと呼ばれる黄色い服を来て走る事が出来る。
その毎日の合計時間でタイムを競う。
その間には敵も味方もなく、時に罵倒したり、時に話をしたり、譲り合ったり助け合ったりする競技で、他の人は全部敵。という普通のスポーツではあまり考えられない試合展開をする。
チームの他の誰かを勝たせるために、風よけ役になる人もいる。
ランスが「僕自身はこのマイヨ・ジョーヌのジッパーの部分くらいの貢献度で、前身ごろや後ろ身ごろ、その他全てのところは、みんなの成果のおかげだ。」と言うような話をしていた。
癌に関しても、自転車に関しても言える事だなあと思ったのは、二つとも、“自分との戦い”だということ。
だからこそ、時に敵対しながらも、ある時は敵とも笑い合ったり、冗談を言い合ったり、譲り合ったりする事が出来る競技なんじゃないかと。
もう、彼にはただただ感心するばかりで、見習うに見習えないくらいの精神力と、時に運のよさと、努力を兼ね備えていました。
この強さがあったから、癌にも自転車にも勝てたんだと思う。
あと、すぐ喧嘩するようなプライドの高さなのに、周りにはいつも友人が支えてくれていた。まっすぐな人なんだと思う。
真っ正面から闘えば勝てる、という「生きる希望」を見せてくれた気がした。
でも、取材者に「自転車のどういうところに楽しいと思いますか」と聞かれて、「意味が分からない」ときっぱり。楽しいから乗るんじゃない。苦しむために乗るのだといっていた。
神ですね。神。
いい本です。
成功体験はいつも身にしみる。
でも私は彼にはなれないし、彼の彼女なんて到底無理だと思ったし、彼と同じ人生を歩みたいとは思わなかった。
自転車という習慣も、私の中にはあまりない。
最近は自転車ブームだけれど。
私はひたすら歩く方が好きだし。
自転車乗ったら、ちょっとした写真のいいシーンを逃してしまう気がする。
歩きは、自転車ほど早くないし、達成感はないかもしれない。
出来れば最短距離を選びがちだけれど。
でも、自分の進み方で進んでいくしかないんだなあと思った。
自転車に興味のない人も、楽しい本だと思います。



